京大2024年院試の熱力学を解いてみました

京都大学機械系の2024年実施の院試問題は今年の１月上旬から公開されています。３問出題されています。

問題１は、熱力学第一法則をベースとして、内部エネルギー、エンタルピーの微小変化の式を、またエントロピーの全微分の式を求めさせています。熱力学第一法則から熱力学の諸関係式を求めさせる問題は、2018年以降は2019年実施問題を除いて毎年出題されていて出題頻度の高い問題です。さらに、圧力、温度が等しい異なる気体の混合によるエントロピー変化が問われています。問題では一般気体定数と気体のモル数が与えられていますが、エントロピー変化は気体定数と質量を使って計算し、計算結果を、一般気体定数、モル数、気体定数、質量の関係式で置きなおす方が解きやすいと思います。

問題２は、等積、等温、等圧過程からなるサイクルの問題で、等積変化後の温度、サイクルが受ける熱量、外部に対して行う仕事、各過程でのエントロピー変化を計算する問題です。熱力学第一法則、流入流出熱量と仕事、エントロピーの定義式から計算できます。また、それらの結果を用いて、サイクルのT-s線図を書かせます。各過程でのエントロピー変化に着目すれば線図を正しく描くことができます。

問題３はブレイトンサイクルの問題です。初めに断熱の式の導出が問われています。それから、定圧過程での入熱量、そしてサイクルの理論熱効率が問われています。ここまでは、ブレイトンサイクルを理解していれば解きやすい問題だと思われます。この問題の最後の設問はやや計算量が多くなりますが、仕事の定義に従い、また、各過程での関係式を用いて式を変形していけば正解にたどり着けると思います。ここで、仕事の計算で、過程の順に積分していくと、外部から成される仕事は積分結果がマイナスになるため、仕事の大きさを扱うときは計算結果の絶対値で扱うよう注意する必要があります。