東大2025年院試の熱工学を解いてみました
東京大学機械系の2025年実施の院試問題は昨年の12月から公開されています。問題1(熱工学)では、2問が出題されています。出題範囲は2024年実施の問題と似た傾向があります。1問が冷凍サイクルの問題で、2問が熱伝導方程式の問題です。
第1問は、逆ブレイトンサイクルから成る冷凍サイクルの問題です。設問(1)では、圧縮機、膨張機、熱交換器、および冷凍庫で構成される冷凍サイクルの温度-エントロピー線図を書くことが求められています。この冷凍システムは逆ブレイトンサイクルであることがポイントです。ブレイトンサイクルはガスタービンに用いられるシステムです。ガスタービン等の熱機関と冷凍サイクルでは、圧力-比体積線図や温度-エントロピー線図での状態量変化は同じですが、熱機関では、過程が線図上を時計回りに変化するのに対して、冷凍機では反時計回りに変化します。圧縮機の断熱圧縮で昇温、熱交換器の等圧放熱でエントロピー減少、膨張機の断熱膨張で減温、冷凍庫の等圧吸熱でエントロピー増加を理解していれば、温度-エントロピー線図は容易に描くことができると思います。設問(2)では、熱交換器の入口温度と圧縮機の出口圧力を算出することが求められています。これらはいずれも、問題文で与えられている圧力-比体積線図に示されている状態2の状態量を求めるものです。圧縮機出口圧力は、熱交換器での変化が等圧変化なので、膨張機での圧力と温度の断熱の式を用いれば算出できます。熱交換器の入口温度は、圧縮機出入口の温度、圧力の断熱の式を使えば計算できますが、圧縮機入口温度自体がこの時点では未知数です。圧縮機入口温度は、冷凍庫での等圧変化における吸熱量Qを用いて表すことができます。
第2問は発熱を有する無限平板の定常熱伝導の問題です。設問(1)では、平板の熱伝導方程式を導出させる問題です。x軸方向の微小領域dxに流入、流出する熱量のバランスを取れば、熱伝導方程式は導出できます。設問(2)は熱流束を求める問題ですが、この問題では、熱伝導方程式の解である温度分布の式が問題文で予め与えられています。熱流束の定義式に従って、この温度分布の式を微分すれば解は求まります。設問(3)は、熱伝導率を求める問題です。平板の熱伝導問題では、熱伝導率は一定とすることが多いですが、この問題では熱伝導率は温度依存である点が、これまでの問題と異なるところで、これまでにあまり見たことがない問題になっていて、ちょっと慌てるかもしれません。しかし、まずは、熱伝導方程式の基本的な解法に沿って、設問(1)で導いた熱伝導方程式を解いていきましょう。解いていく過程で設問(2)の解を使うこと、および設問(1)の熱伝導方程式の境界条件を使うことが必要になります。これらを用いれば、温度依存の熱伝達係数の形を見い出すことができます。ただし、熱伝導方程式の境界条件は問題文では陽に示されていませんので、この熱伝導現象の特徴から引き出してみましょう。
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